『剃毛』のその後のお話。コメディというよりギャグw
ルカの予想の上をいくジャンと剃毛に夢見すぎなルカ。
[2017年 4月 19日]
教会へと続くいつもの道を、俺は足早に歩いていた。時刻は夜の7時。ジャンはもう夕食を済ませた頃だろうか。 前回教会に来た時、ジャンの下の毛を剃ってやった。俺に変わった趣味があるわけじゃない。たまたまジャンが風呂場に居て、たまたま俺がカミソリを見つけて、たまたま助平オヤジがジャンに言い寄っているのを見てむしゃくしゃしていただけだ。 毛を剃った時にカミソリから伝わる感触を思い出す。思いのほかブツブツとした硬い手応えだった。そして剃った後、毛根なんか最初からなかったかのようにツルツルになって驚いた。 体毛は本来身体の重要な部分を守るために生えている。陰毛も然りだ。他人の、そんな大事な毛を剃っちまう罪悪感。それを上回る優越感。相手が同じ男なら尚の事、俺がコイツを支配しているという気分になってえらく興奮した。 その時のジャンは、剃り跡が敏感になっているせいか、恥ずかしいせいか、顔を真っ赤にさせて、何と勃起していた。聖職者のくせにそんなエロい反応されちゃ約束の晩飯どころじゃない。俺はジャンを担いでベッドに直行した。 あれから3週間──。俺が剃った毛はだいぶ伸びただろう。もう一度「お手入れ」をしてやる頃合いだ。今ソコはどんな状態か、今度はジャンがどんな反応をするか、考えただけで顔がニヤけてしょうがない。 「あー、くせになりそ……」 3週間前のあれこれを思い出すと居ても立っても居られなくなる。一刻も早くジャンに会ってソコを確認したくて、俺の歩みは自然と早まった。 「ルカ、どうしたんです? こんな時間に突然」 「よぉ先生、こんばんは」 突然の俺の訪問に、ジャンは驚きながらも中に招き入れてくれた。俺はここを訪れるのにいちいちアポを取らない。でも、ジャンはよほど都合が悪い時でないかぎり俺を追い返す事はしなかった。 「来るなら来ると言ってくだされば夕食を用意したのに」 せめてお茶でも、とヤカンを取り上げたジャンの手を押さえる。気持ちはありがたいが俺にはゆっくりお茶をご馳走になる余裕はない。 「細けぇ事は抜きだ。こっちに来いよ、先生」 俺はジャンの腕を掴み、風呂場に向かってダッシュした。 「えっ? ちょっと、待ってください!」 戸惑うジャンを風呂場に押し込み、俺は洗面台の棚を開けて中を漁る。 「何なんですか、一体」 それには答えず、目的の物を見つけた俺はジャンに詰め寄った。手の中でカミソリの刃がギラリと光る。 「定期検査だ、先生」 「定期検査?」 逸る俺に鬼気迫るものを感じたのだろう。壁に追いつめられたジャンが怯えた顔をしていた。 「あれから3週間だ。俺が剃ったあんたの下の毛、だいぶ伸びてきただろ? もう一度キレイにしとかないとな。……というわけで、ズボン下ろせよ」 一気に喋る俺を、ジャンは口を開けたまま茫然と見つめている。 「さあさあ! 脱ぐ脱ぐ!」 「ルカ、何を!」 脱げと言われてテキパキ脱いでくれる相手じゃない。俺はかがんでジャンのズボンを脱がしにかかった。 「や、やめてください! そんな、無駄ですっ」 嫌がる牧師を壁に押し付け、力ずくでズボンと下着を膝まで下した。 「……あれ?」 そこには何もなかった。 「どういう事だ……。ツルツルのままだぞ!」 ジャンの下腹部は3週間前に俺が剃った時のまま、きれいさっぱり毛の一本も残ってなかった。 「あの、実は……あなたに剃られた後、最初は違和感があって嫌だったのですが……」 訳を求めて見上げる俺に、ジャンは頬を赤らめて恥ずかしそうに言う。 「慣れてくると思いのほかスッキリ快適な事に気づきまして。それに伸びてきた時、チクチクして痛痒いんです」 「……で、自分で剃ったと」 「……はい」 俺はその場にへたり込み、思わず頭を抱えた。なるほど『無駄です』、か……。 「あの、ルカ? 大丈夫ですか?」 放心する俺の顔を、ジャンが心配そうに覗き込む。 ──大丈夫じゃねぇよ。俺の楽しみを返してくれ。 クソ真面目な牧師が自分で剃毛している姿を想像したらそれはそれで面白い。けど、俺が求める背徳と官能の剃毛プレイは今やジャンにとって単なる身だしなみだ。 ──そうじゃない。これはそういうもんじゃねぇんだ! 俺の落胆ぶりに、ジャンはおろおろして何度もすみませんと詫びていた。 これからは俺のために毛は残しておいてくれ、と頼んだら、このお人好しな牧師は願いを聞き入れてくれるだろうか。
『剃毛』のその後のお話。コメディというよりギャグw
ルカの予想の上をいくジャンと剃毛に夢見すぎなルカ。
[2017年 4月 19日]