雨は一向に弱まる気配がなかった。雨音と雷鳴が辺りの空気を震わせる中、雷光が窓から室内に差し込んでくる。近年まれに見るような荒れた天候になった。
  これはやはり神の怒りなのだろうか……。自分はこれから血の繋がった少年と交わろうとしている。何の罪も犯していない無垢な身体を暴き辱めようとしているのだ。この先、神は決して私を救ってはくれないだろう。それどころか、どんな天罰が用意されていても不思議ではない。
   小屋のロフトに置いた粗末なベッド――。その古いベッドに腰掛けてハリーを腕に抱き、シャツを剥いで白い肌を味わった。男とは思えない白磁器のようななめらかさにため息が出る。16歳の中国系高級娼婦もこれほどではないだろう。先程、濡れたシャツ越しに私を誘惑した淡い色の小さな乳首を吸い上げる。誘惑した罰だと言わんばかりに舌と指先で執拗に愛撫を続けると、慣れない刺激にハリーが呻きを漏らした。
  ハリー・ブライアントが腕の中に居るというだけで興奮する。それは、人には絶対懐かず捕獲不可能と言われた有翼の白いユニコーンを手に入れたような気分だ。捕まえた喜びよりも逃げてしまう事への恐れ……。そんな焦燥感に駆られて、息もさせないほど激しく口付けた。
  口付けながらジーンズの中に手を潜り込ませ、性器を直接握り込む。
「ンン……ッ!」
  唐突な強い刺激に、ハリーは喉の奥で小さな悲鳴を上げ身体を震わせた。彼の若い性器は、鋼のように硬くなり火傷しそうな程熱を帯びている。そればかりか、いつからこんな状態だったのだろう。先端から溢れる己の粘液ですっかり濡れそぼっていたのだ。
「待っていたのかい?私にこうしてもらえる事を……」
  指の腹で敏感な部分を擦りながら耳元で囁く。
「『扱いて、ステファン』って言いたかったんだろう?でも恥ずかしくて言えなかった……」
「違う!そんなんじゃ……」
  ハリー自身から手を離し、彼の目の前にその手を突き出して開いた。
「じゃ、これは何なのか言ってみなさい」
   手のひらをべっとりと汚した自分の愛液に、ハリーは慌てて目を閉じた。
「キスで勃起してから、君は私の愛撫を待ちわびていたんだ」
  ハリーをベッドに横たえ、下着ごとジーンズを脱がせる。全裸にされたハリーは、私の目から身体を隠すように横を向いて手足を縮めた。
「男同士でどうやってセックスするか知っているかい?」
  優しく問えば、顔を伏せたまま微かに頷いた。
「男に抱かれた事は?」
  これには激しくかぶりを振る。
「俺を……抱くの……?」
  躊躇いがちにシーツの間から聞こえた声は怯えていて、私はそんな恐怖を取り除いてやるために彼の頭をそっと撫でた。
「痛い思いはさせたくない。君を気持ちよくさせてあげたいんだ。私を信じて欲しい」
  身体を丸めたままの腰の下に枕を差し込む。そして膝裏に手をかけて身体を折り曲げ、両脚を左右に大きく開かせた。
「嫌だっ!ステファン!やあぁ!」
  突然あられもない体位をとらされてハリーが抗議の叫びを上げるが、それには構わずさらに脚を割り開いた。金色の陰毛も、弾けそうなペニスも、その下の双玉も、彼の局部がすべて眼下に晒される。後ろの穴は、枕で腰が上げられたため真上を向いていて、皺のひとつひとつがはっきり見えた。
  あまりの淫靡な光景に堪らない気持ちになる。急速に股間に熱が集まっていく。おそらく人生最大の羞恥に、泣き出しそうなハリーの顔にもそそられた。
「綺麗だよ、ハリー。色っぽくて……綺麗な身体だ……」
  男を抱いた事は何度もある。うんと若い頃は年長の男に抱かれもした。女将と顔馴染みになる程娼館に通い詰め、男娼に入れ込んでいた事もある。恋愛に関しては男も女もお構いなしに浮き名を流していた。綺麗な人間は男女問わず大勢この腕に抱いて来たが、ハリーは美しさを含めその存在自体、格が違った。
  自分の経験を生かして、この腕の中に居る極上の存在に快楽を与えたい。私に抱かれると堪らない程の悦びを味わうという事を教えたい。だが、後ろの入口を楽に貫通させるための潤滑剤を用意出来なかった。
  気が付くと眼前の蕾にしゃぶり付いていた。たっぷり唾液を流し込みながら、食うように唇と舌で可憐に息づくハリーの蕾とその周囲の柔らかな皮膚を、音をたてて貪る。舌が小さな穴をこじ開け、広げ、抜き差しすると、ハリーが堪らず小さな喘ぎを漏らした。
   私の頭を押し退けるつもりだった手は、髪を掴んだまま目的を忘れているようだ。おまけに両脚はもう拘束されていないのに、彼はそれに気付かず大きく開脚したままだった。
   唾液に濡れ、すっかり蕩け切った後孔に指を挿入する。内側の襞を擦りながらゆっくり抜き差しすると、切なげな声でハリーが啼いた。
「よしよし、いい子だ――痛くないだろう?そのまま力を抜いてなさい」
  慎重に指を増やす。ハリーの顔に苦痛の色が浮かんでいない事を見届けて、2本の指を開きながら穴を少しずつ広げていった。
「気持ちいいかい? 」
  顔を寄せて囁くとハリーは涙の滲んだ目で見上げてきた。
「俺は……男なのに……こんな事……!」
「でも君の中、嬉しそうに締め付けてくるよ?」
「いけない、ステファン……血が繋がった叔父と甥なのにこんな――あ、ああっ!」
  3本目を挿入し、緩やかに中を掻き回すとハリーが身悶えた。
  自分のモノが痛いくらい張り詰めていてもう限界だった。ハリーから指を抜いて立ち上がり、服を脱ぐ。もう一度脚を開かせようと膝に手をかける。だが、これから自分の身体を貫こうとしている凶器の正体を目の当たりにし、ハリーは弱々しく首を振って後退りした。怯えて逃げようとする腰を掴んで引き戻し、震えている両脚を高々と上げる。
「君に慰めをひとつ――君が私の姉の子供として生まれてきたのは君のせいじゃない。もうひとつ――私を虜にする程のその美貌は、神の仕業であって君の罪ではない。……さあ、わかったら力を抜きなさい」
「イヤ、だ……お願いだから……」
  ハリーの懇願を聞き入れてやる余裕はもうない。可憐な蕾に亀頭を押し当て、一気に突き刺した。――その瞬間、ハリーが大きく悲鳴を上げる。
  力を抜くどころか、恐怖と苦痛でハリーは身体をこわばらせていた。締め付けが相当きつい。このままでは彼が痛い思いをするだけだ。私は萎えかけた彼の性器を握ってゆるゆると扱いた。
「――はぁ……ああ……!」
  ハリーの表情が次第に快楽に濡れていく。彼自身が再び硬さを取り戻すにつれて中の締め付けが和らいだ。同時にそこは中に居る私自身に吸い付いてくる。もう痛みは治まったと確信し抜き差しを始めると、ハリーはあきらかに悦びの声を上げた。
  快楽に蕩けた淫らな顔も、雷光に浮かび上がる艶めかしい肢体も、一突きするたび上がる甘い悲鳴も、どれもこれも脳髄を直撃した。熱く濡れた内壁が、腰を引く度逃すまいと追ってきて奥に引き込もうとする。侵入した私を窒息させるようにじわじわと圧迫していく。
「ハリー、君の身体……最高だ!」
――処女のくせに……。このままでは先にイカされてしまいそうだ。
  ハリーの両脚を肩に掛け、腰を叩きつける。
「――ア、アッ!やあっ!」
  深過ぎる挿入を嫌がって彼は首を左右に打ち付ける。彼自身をきつく扱くと、それはあっけなく腹の上に精を吐き出した。吐精の瞬間、内壁が締まって快感の波に見舞われる。
「ずっと君に憧れていた……!」
  数度、奥深くを突き上げ、私はハリーの中に射精した。
「愛している……!ハリー!」
  繋がったままハリーの上に上体が崩れ落ちる。彼の華奢な身体を力一杯抱き締めると、細い指が私の背に縋ってきた。
「ステファン……」
「ハリー、君は私のものだ」
――そう、彼の背後に見えるマリーをも含めて……。